質問
はじめまして。ホームページを拝見いたしまして、メールを送らせていただきます。よろしくお願いします。5階建てで20所帯ぐらいの共同住宅の建設を住居の近くに予定してます。
建築業者はまだ決まっているわけではありませんが、仮見積もりをとりましたところ、近隣対策費という項目がありました。これは、どうしても必要な予算なのでしょうか。というのは、近隣の問題等あまり起こりそうもないと思うのです。
近所の賃貸マンションを建設した人に聞いたところ近隣対策費はほとんどかからなかったとも言われました。まして違反の建物でもないものに対して近隣問題というのはどういったものがあるのか、想像も出来ません。考え方が甘いのかも知れませんが、この予算をとらないとどういう問題に発展するのでしょうか。
また、問題が起きた時に予算を組むということはできないのでしょうか。それとも、近隣対策費を支払って業者さんにお任せしたほうが、安心なのでしょうか。予算に入れてしまってその費用が結果かからなかったら、その費用はどうなるのでしょうか。近隣問題もどのような問題が発生するのかわからないことだらけで不安です。業者さんの方に近隣対策費をもう少し削ってくれと頼むのもおかしな話なのでしょうか。
なにぶん全てが初めてのことで、全体の予算も出来ることなら少しでも押さえていきたいと思っています。近隣問題についていろいろ考えられる事全てお教え下さい。お願い致します。
回答
<はじめに: この回答はご相談のあった1999年7月に
すでにご相談者あて回答したものですが、
当相談コーナーのシステム改善の都合上、
再度編集して掲示しております。ご了承ください。>
今回の「近隣対策費など」はその最たるものですが
業者はこうした「予備予算」の計上をもって
全体工事費用を概算算定します。
プロの私の見解からすればあくまでも今回のような
仮見積りの段階ではご相談の内容でのご心配は無用です。
現段階では放置しておいてかまいません。
ただし、これで工事契約をしてしまうことはもっての外です。
絶対に工事契約してはいけません。
営業マンはなんだかんだと「工事契約」を急ぎますから
気を付けてください。
見積書はコンピューター入出力に基づいておりますので
物件ごとの特例は排除して、どんな物件も一律に出力されます。
物件ごとに違うのは「床面積」と「工事費」ぐらいです。
ここで出てくる工事費用などはほとんど当てになりません。
したがって、どこの会社の見積書にもこうした項目が出現します。
ただし、これが「本見積り」となれば別問題です。
一項目ごとにチェックしていかねばなりません。
「近隣対策費」に止まるどころではありません。
「この内容をチェックするのは誰か?」がとても重要です。
この「本見積り」を算出するための根拠としては、この規模ですと
約100枚程度の設計図面が必要です。
この図面の中にはこうした「近隣対策についての検討」
もなされております。
これらの指示事項の集積が「設計図面」となりますが、
今、あなたが納得なさりたいのはこの部分でしょうか。
さて、この設計図に基づいた
「本見積書」の内容は80ページ以上になります。
おそらく項目数でも800項目以上の判定、検証が必要です。
ましてや、業者選定を4社程度で民間入札
(「合い見積り」と言います)させたら
その見積書だけで4冊(320ページ以上)を
チェックしなければなりません。
こんなこと基本的にはお客様はできないと思います。
ですから、お客様は「建設業者にお任せ」にならざるをえません。
結果「高くて普通のマンションか、安くてクレームの多いマンション」が多いのです。
と言うわけで
予算の計上の仕方からどのように設計段階へ進み、
どのようにして工事が進行していくのかを
細かく説明してくれる人があなたのパートナーです。
上記のような
設計図面を完成させて業者選定に向けて「本見積り」に対する準備をし
出てきた膨大な見積りを比較検討し、
最終的に工事費が妥当で技術的に優れた
「建設業者」とお客様に契約をして頂く。
さらには、工事の内容の適正化を計るべく第三者的な立場として
厳正なチェックと工事指導を行い、
最終的には永続性のあるお客様の資産としての建築を作り上げていく。
これがパートナーの仕事です。
基本的にあなたが建築のプロでない以上
どのようなことを業者から言われても鵜呑みにしなければならない
ということを再認識して頂くことが先決です。
鵜呑みにできないから「いろいろな思案」が生まれてしまいます。
理解したいというのも分かりますが、その疑問に的確に
その答えが返せるかどうかが一番大切だと思います。
あなたが節税を希望すれば、
あなたのパートナーとして 税理士に仕事を依頼されるように
あなたがご自身の権利の主張を希望すれば、
あなたのパートナーとして 弁護士に仕事を依頼されるように
限りある予算で納得のいく建築を希望されるなら
「建築設計事務所」にご相談されることをお勧めします。
(ここで間違えていけないのは建設会社が紹介する設計事務所は
あなたのパートナーではなく建設会社のパートナーです。)
すべてが始めてというのであればなおのこと
私どものような「建築設計事務所」にご相談ください。
よろしければ一度お電話にてご相談ください。
メールでは書けないこともお話ならば多くの情報交換ができます。
ご相談は無料です。近隣問題の不安に悩まれること以前に「水先案内人」を探されることをお勧めします。