地下車庫(4台)付住宅【兵庫県芦屋市】

砂混じりシルト質の土地での地下室工事は山留を慎重に行う必要があります。また山留杭が傾斜しないように杭頭に倒れ止めを施工しています。道路位置からこの地下室にスロープで車や自転車を降ろしてくる大型の自家用駐車場を作っています
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道路面からスロープで・・・深さ約2.2m下に大型地下駐車場を設けた住宅

芦屋川から300mほどの街区にあるこの敷地は、六甲山の麓の扇状地と大阪湾・六甲アイランドとに挟まれた位置にある。

この一画は六甲エリア特有の花崗岩質の砂礫地盤と海からの砂地質とが混ざり合う地質の土地で、間口約8.4m×奥行約26mというやや縦長の敷地(約70坪)に大型地下駐車場をフルに設けた戸建住宅を設計した。

ご希望には駐車場に大型乗用車(外車)4台の他、自転車やバイクなどを格納して欲しいということのほか、ご家族のそれぞれの生活形態に合わせた間取り、全館空調の採用などが前提にあった。

平坦地に大型の駐車場を確保することはそのまま地上置きにするのが一般的だが、地上置きは「1階または2階」に置くこととなるので地上部分の住居部分の面積は駐車スペースに奪われてしまい生活ゾーンが手狭になってしまう。

機械式自動車エレベーターや自動車用昇降リフトによる駐車場の選択肢はある。

が、大型乗用車4台となると自動車エレベーターではエレベーターのみならず転回用のターンターブルも必要になるので工事金額やメンテナンス維持費もましてやスペースもおぼつかない。

結果、4台を格納するには「駐車場は地下に!」と判断されて弊社を尋ねて来られたのだ。

お客様は他社といろいろ協議をされる中、安価に築造できる弊社の地下室工法をHPで検索されてアクセスして来られ、面談をされる中で「分離発注」もご理解いただいき設計へと進むこととなった。

~Before~

既存の敷地は道路から約30cmほど上がっていることを利用して遮水を行い、スロープで地下駐車場に車4台を格納するプロジェクトです

既存の敷地は道路から約30cmほど上がっていることを利用して遮水を行い、スロープで地下駐車場に車4台を格納するプロジェクトです

~Basement~

砂混じりシルト質の土地での地下室工事は山留を慎重に行う必要があります。また山留杭が傾斜しないように杭頭に倒れ止めを施工しています。道路位置からこの地下室にスロープで車や自転車を降ろしてくる大型の自家用駐車場を作っています

砂混じりシルト質の土地での地下室工事は山留を慎重に行う必要があります。また山留杭が傾斜しないように杭頭に倒れ止めを施工しています。道路位置からこの地下室にスロープで車や自転車を降ろしてくる大型の自家用駐車場を作っています

~After~

さて、設計上では、お客様のご希望を満足するために敷地形状による「奥行約26m」を十分に活かそうと考えたのは言うまでもないが、乗り入れられるご希望車種は最低地上高が約9cmと10cmに満たない車高ゆえにスロープ形成の設計がとても重要で、フロントノーズやテールの下端と腹擦りという車の3ポイントを実証していった。

現況の外車で買い物に行くデパートの車路スロープを勾配定規で何か所も計測したのはデータ収集としてとても

有益だった。

これらの設計を踏まえ地下駐車場は前面道路からスロープで約2.205m下げて、上部の梁をかわすために地上床高さは85cmとして階高3.05m(天井高2.69m、梁下2.16m高級車4台を停められる)で設計している。

建物構造はお客様に阪神淡路での震災経験があることから安心・安全を増すために地階と1階をRC構造(薄肉偏平ラーメン構造)でまとめ、2階と屋上塔屋を木構造(在来軸組構造)でまとめた「混構造」という形式としている。

これは地階がRC構造のため、その構造を地上まで上げてフレーム構成したものだが、さすがに2階や屋上塔屋までRCにすると重量が重くなり、杭基礎の必要が出てきて工事費が増加するため直接基礎の内容で進められる限度として混構造とした。

ただし、木造であっても屋上はスロープなどでの庭の減少を補完する意味で陸屋根としているが、塔屋や全館空調システムの大型機械室も必要になることから最高高さや最高軒高さを規制値以内で納めたのは難しい設計であった。

南北に細長い敷地ゆえに南面には大きな吹抜けを設けて、南・南西からの採光をふんだんに採り入れているが、大開口は設けたがゆえに夏と冬では熱の貫流が大きいため、室内側ガラスの空気層側に特殊金属膜をコーティングして夏には太陽光を50%以上カットし冷房効果を高め、冬にはその特殊金属膜が室内の熱を外へ逃がさないような仕組みのLow-E複層ガラス(遮熱タイプ)を採用して全館空調システムの運転安定性と経済性を見込んでいる。

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