質問
昨年末に新築のマンションを購入し、今年1月に入居いたしましたが、欠陥が発覚しました。
今後の対応についてご助言ください。
販売は〇〇ハウス(東証一部上場一流ハウスメーカー)、施工は△△組(東証一部上場一流建設会社)です。
横浜の☐☐区内のマンションで、全24戸。
メゾネットタイプになっており、自宅は1Fと2Fです。
庭もあります。
内覧会の当初から多くの施工ミスや仕上げの不具合があり、入居前に50項目以上の補修を依頼しました。
全てに対応はしてくれたのですが、3月の現在まで毎週のように工事が入ります。
その過程で、どうも階段の施工が悪すぎると思っていたところ、別の入居者が壁を壊して中を確かめてみました。
私の住戸と同じタイプだったので、見せていただいたのですが、階段の下にもう一段階段がありました。(添付写真1)
これは、階段を支えるための鉄骨の位置を間違えて設置し、それに気付かぬまま階段を作ってしまい、2Fのリビングに整合しないと分かった時点で既成の階段の上にダミーの階段を作り、横の壁をクロスで塞いだ状態です。
鉄骨の位置が間違っているため、リビング下の部屋に鉄骨の一部が露出してしまうこととなり、それを隠すために部屋の角に合わせて鉄骨をカットしています。(添付写真2)
この施工のために、階段下の収納はいびつな形に縮小されていますし、鉄骨に大きなカットを入れたことによる補強は十分にされていません。
施工の△△組に確認したところ、上記の施工ミスを認めました。
また、鉄骨カットに伴う必要な耐荷重計算はしていないことも確認しました。
加えて、目に見える階段はハリボテのため、水平がとれていません。
〇〇ハウス、△△組共、施工ミスを認めて補修する約束が取れていますが、既に数十回の補修の為に休みを使ったのに、さらに引越しを伴う2か月の工期が必要とのこと。
この新たな工事は構造部分に及ぶため、今まで補修をした他の部分も取り壊し、または傷が付くため交換となります。
さらに、2Fのリビングもフローリング材下の素材間違いのため、歩くだけで表面材が割れるという不具合があり、これも全面張り替えになっています。
他にも水漏れ、換気扇の弁取り付け間違いによる風量不足、コンクリ部分のひび割れなど不具合は多岐にわたります。
ミスはミスで補修すればよいのですが、階段不具合のような、ミスを意図的に隠して安全性の確保できない方法で誤魔化し、こちらが発見するまで黙っているのは悪質だと考えます。
民法をざっと調べたところ、このような「悪質」な事例に対しては賠償請求ができるようです。
完全な補修を行うのは当然として、賠償金として本体価格の20~30%程度を請求したいのですが、相場や法的根拠が明確でありません。
今後の対応、方針についてアドバイスをお願いいたします。
回答
写真を見た限りでは「欠陥」という考え方にはなれず施工者の施工ミスによる「不正工事」だと思います。
(「欠陥」とは鉄筋の本数や長さなど設計図上で指定され必要とされている事項が「欠落」やコンクリート強度など設計図上で指定され必要とされている構造強度に影響する事項の品質上の「不足」などをいいます)
まず、不正工事に対するご立腹もさる事ながら、販売元や施工者が有名メーカーや一流ゼネコンであるので、「社会的評価を得ている彼らがなぜ?」というご相談者が信頼を裏切られたことに対してなおさら腹立たしくなっているのでしょうね。
このようなことはあってはならないわけですが、現場に緊張感がなくなれば常態的にまかり通ることになるので、緊張感を持たせる意味でも第三者工事監理者(ゼネコンの工事関係者ではない)による第三者チェック者が必要とされています。
「住戸購入者に見つからなければ、わからなければ何でもOK!」というスタンスから発覚を隠ぺいすることになります。
おそらく、すべての工事会社さんがそうした工事をしているわけではありませんが、中にはそのような工事をしてしまう会社もあるはずです。
その有名メーカーや一流のゼネコンも同じ穴の狢といえなくもありません。
こうした施工ミスの背景には設計者はどのように関与したのでしょうか?
また、工事監理者はどのように関与したのでしょうか?
一般的には設計図に従って施工図が作られ、設計者や工事監理者はそれらの施工図をチェックしています。
そのチェックを行った施工図に基づいて施工者もチェックを行って幾重にもチェックをそれぞれの段階でチェックをして工事に掛かります。
ですので、工事以前の段階でこれらチェックを見過ごしてきたことが主たる原因になります。
ゼネコンさんの場合は設計者も工事監理者も工事監督者も現場管理者もゼネコン傘下の場合が多く、第三者が介入知ることはほどんどないのが実情ですので、気が付かずにスルーしてしまうことは往々にしてあります。
現場が何を以って階段基礎を作り、何を以って間違えに気づき、何を以って恐し、何を以って違った位置に作り直し、何を以ってそれを隠ぺいしようとし、何を以って間違えを好としたのか?
基本的には「体質」としか思えませんし、これが「実態」なのだと思います。
それらを加味したうえで本題に戻りますが、今回のご相談はご自身で既に研究されている通り民法上の問題です。
「損害賠償」という内容になりますので建築の問題とは領域が異なってしまいます。
建築的な見地からすれば「建築の不正工事」につきましては設計図通りになっていることが重要なことで、問題点がないことが正しいことになります。
ですので、建物を含めた室内の内容的なことは設計者や工事監理者や施工者に説明を求めて問題がないことを究明(証明を求めて)してください。
過去から不具合が目立って補修工事に相当な時間が費やされ竣工引き渡しが遅延し、仮住まい費用の延長に伴う家賃などの発生や、ご相談者がそれら補修工事などに付き合わされて想定以上の時間を要求されて会社を休まざるを得なかった場合などの時間給的損害を生じた場合はそれらを根拠とした記録を作成して請求することはある程度妥当だと思います。
ただし、その物理的な時間的損害に付随した心理的、肉体的な損害賠償につきましては「建築士」の領域を超えますので「弁護士」さんにきちん資料をご用意の上でご相談いただくこととなります。
建築の立場からはこれくらいのことしか申し上げられませんがお役に立てましたら幸甚です。
また、弁護士さんをご紹介することも可能ですので、ご必要であればご連絡ください。
以上となりますが、ご不明点や解決がみられないなど何かお困りごとがございましたら引き続きご相談ください。
<ご案内:この回答はご相談をお受けした直後にすでにご相談者様あてに回答したものです。
当無料相談室では同様のご相談が比較的多いので、当サイトのリニューアルに伴いまして、再編集の上、新着のご相談と共に再公開いたしております。
また、金額掲示がある場合は金額は回答当時のものです。現在の金額からは変動しておりますのでご留意ください。
ご相談内容と似た事例はページ右側のサイドメニューに掲載の「住まい&建物相談キーワード」から検索可能ですのでお試しください。>
・何かお困りごとがありましたら「住まいの無料相談室」ご相談窓口からご相談ください。
・擁壁・地下室+建物づくり相談も受け付けておりますのでご利用ください。
・遠隔地の現地確認をともなうご相談は交通費などを頂戴いたしております。