<はじめに: この回答はご相談のあった1998年11月に
すでにご相談者あて回答したものですが、
当相談コーナーのシステム改善の都合上、
再度編集して掲示しております。ご了承ください。>
こんにちは SK さん お電話ありがとうございます。
お住まいの外壁の塗り替えと屋根の塗装ならびに外壁のひび割れ(クラック)についてのご相談ですね。
結論から申し上げます。プロの立場から申し上げれば、基本的には築5年程度の住宅では「外装のペンキの塗り替え(塗装替え、リフレッシュ、化粧直し)はまだ不要です。また、屋根面の塗装については将来的にも塗装など不要です。また、工事費用も正確さに掛けるようなので一度見せてください。
確かに建物のためには、この時期に「外装」の化粧直しをすることは望ましいことではありますが・・・経済的な効果・バランスからすれば8年から10年ぐらいを目安にされるのが金銭的な負担も楽だろうと思います。
それよりも私は「外壁のひび(クラックといいます)」の方がかなり心配です。
一般的に塗装業者はどんな建築状況であろうと「塗り替え(塗装替え、リフレッシュ、化粧直し)」が守備範囲です。クラックは黙視していても、いつものことながら、このクラック部にコーキングシール(防水性ボンドのようなもの)を施工した後には、その上に塗装をしてしまいます。クラックの因果などはあまり考えずに部分処理を先行させてしまうのが常です。なぜなら、かれらは業者ですから・・・。「中身はどうあれ、仕上げてなんぼ」の世界です。こうしてしまうとクラックは一見消えますが原因の究明までには至らないので同じようにクラックは再発します。
さて、クラックの件ですが、問題なのはクラックの発生させる原因です。この発生原因をそのままにして、塗装をして隠してしまえば建物に病巣を残すようなもの。処方もないまま薬を塗っても再発するのは明らかです。
クラックの原因は色々あります。(ひび割れの原因)
1.地盤や基礎に起因するもの
2.建築の柱や梁や筋違い(すじかい)などの骨組みに起因するもの
3.建物の間取りや建物の偏荷重に起因するもの
4.建物の材料に起因するもの
5.地震や風圧力や積雪など自然現象に起因するもの
6.施工精度に起因するもの
7.施工不良に起因するもの
などさまざまです。
このクラック発生の傾向は建売り住宅(建売住宅)、売り建住宅(売建住宅)などに多く見受けられるようです。
これは実際に建物を診断したうえで発生原因を追求してみなければいけません。
ぜひ私にご連絡をいただければと思います。塗装よりも何よりも優先する必要があります。
ところで、ご相談内容にある「カラーベスト屋根(スレート屋根・スレート瓦)の塗装」については業者の「セールストーク」です。いわば「工事費を稼ぐための騙しのテクニック」とお考えください。騙されています。屋根材は朽ちることがほとんどありませんので、その必要性はありません。20年以上の耐久があります。耐久がなくなった時は葺き替えます。
屋根材は不燃材が一般的で、セメント質や陶器質のものが主流です。確かに外観上は時間的経過によっては変色もあり、ところによっては苔が発生するなどもあります。これに塗装をすれば不燃化は望めなくなり逆に問題ですし、塗装後1、2年で塗料が紫外線で劣化して、剥がれたり変色したりで塗装以前の状態よりもっとひどい状況になってしまいます。この時「騙された」と気付きます。
屋根の塗装はほとんどが平面なので施工方法は下向きのローラー仕上げですから誰にでもできるので安価です。
本来塗る必要がない部分にもかかわらず、塗らなければならないような「セールストーク」は悪質ですし、ましてや、屋根の傾斜面を口実に、屋根の傾斜足場の数量単価を見積りに算入すれば、簡単にその工事費用は50万円以上にも膨らみます。また、施工面積が広いので工事費としてまとまればかなりの金額になってしまうのです。
必要な出費なのか、無駄な出費なのかの判断は「専門業者の判断に任せてはいけない」のがこれでお解りいただけましたか?これが実態です。
工事はさせても、適切な判断は業者任せではトラブルを作るだけなのです。できるだけ「住宅専門の建築設計事務所」の判断を仰ぐことが最善なのです。
SKさんの場合には塗装よりも何よりも「外壁のクラックの原因究明」が急務です。
また、悪質な業者とは縁を切ることをお勧めします。