大きな地下付住宅

<はじめに: この回答はご相談のあった1998年8月に
すでにご相談者あて回答したものですが、
当相談コーナーのシステム改善の都合上、
再度編集して掲示しております。ご了承ください。>

こんにちは KI さん メールありがとうございます。

お名前確認いたしました。
これで地下室付住宅の資料がお送りできます。

>今は、●●とか●●とかの大手ハウスメーカーに
>見積もりをしてもらっている段階です。
>もう土地は購入してあるので、できれば今月中に業者をきめて
>話を進めたいところなんです。
>文京区西片は建築の規制がもっとも厳しいところらしく、
>3階建てはほぼ絶望的で、仕方なく地下室という計画を考えています。
>40から50平米くらいのスペースを考えています。
>いままでの見積もりをみると、地上地下あわせて
>6000万円くらいになりそうです。

そうですか、かなり切迫しているご様子で少し驚きました。
ハウスメーカーの件や契約時期や金額のことを考えると
資料は大至急見ていただいた方がいいのでしょうか?

ただ、資料では地下室の工法的なことには一切触れておりません。
地下室を提案した郊外型住宅のソフトの部分をご紹介したものです。

前回のメールでは「設計中」とありましたので、
すでに設計事務所等が関与していると思っておりました。

建物全体と地下に関しては
どのように計画されているかわかりませんので
一概に業者のことや契約の時期や金額のことは
申し上げられませんが・・・いくつか質問をさせてください。

文京区●●の最も厳しい規制とはどんなものでしょうか?
第一種低層住居専用地域、第1種高度地区以外に、北側敷地に対して
段差があり、地盤が弱いとか・・・。でしょうか

6000万円くらいとはどこまでを含んだ金額でしょうか?
建築費の他に、設計料や冷暖房機器・床暖房機器やセキュリティーまで
含んだ金額でしょうか?

また、各階の想定床面積はどの程度でしょうか?

今ホームページでご覧戴いている「現在着工中」の地下室付住宅は
第一種低層住居専用地域、第1種高度地区、準防火地域です。
45畳の地下室の外側にドライエリアが2面あります。
地下1階地上3階建の4層の木造住宅です。
この住宅の当初の想定床面積は約200m2でしたが、最終延床面積
は約282m2(85坪)までに広がってしまいました。

床面積や仕様はご希望に従って増やしたりグレードアップできますが、
工事費は容易に増やせません。
どんなお客様でも建設資金(予算)の資金源には限りがあるからです。

また、新居への入居までにかかる費用=「費用はこれ以上は発生しない」ところまでを想定して予算を立て、
その予算配分に従ってそれぞれについて発注していきますので、後々金額が膨らむことがありません。
ですから、お客様は資金の確保さえ問題なければ、建物が出来上がるのを心待ちにしながら、
夢の実現に向けて、他のことに思いを巡らせることができるのです。

目下着工中の、もう一軒の地下室付の二世帯住宅は、契約直前で床面積を
増やしたにもかかわらず、
約266m2(81坪)を4050万円+消費税で契約しました。

このプロジェクト総予算額は約5400万円です。
この時も想定床面積は180m2でしたがやはりかなり膨らんでいます。

地下1階・地上3階建の4層二世帯住宅(ガレージ2台分付)です。

さて、
今までの住宅建築はKIさんが今やらているような手順が一般的でした。
施主が直接ハウスメーカーや建設会社に依頼されて、ご自身または
ご家族が業者と直接打ち合わせるケースです。
しかしながら、これだけの工事金額を想定されているのであれば、
設計事務所に入って戴いた方がよろしいかと思います。

最近(特に3年半前の神戸の震災以来)は設計事務所が建築の
プロとして第三者的に介在し、公正な「設計・監理の業務」をすることが
徐々に認識され、住宅においてもその重要性が浸透してきています。

できればKI邸も「設計・監理」は設計事務所に依頼され、
KIさんご家族と設計事務所とで入念に打ち合わされた設計内容
(KIさんらしさを含めたソフトの部分と住まいとしての器=ハードの部分
を形にしたもの)を基に工事見積りをされることをお勧めします。

つまり「KI邸 = 住宅のハードの部分 = 設計図」という「お客様」基準を基にいくつかの業者に競争(入札)してもらうわけです。

選考基準は金額や工事内容やアフターメンテナンスなどいろいろあります。

セールスマンや幹部社員のセンスなどもあるでしょう。

一般的には業者はタブーなのでこうしたことは口にしません。

その入札参加業者として●●とか●●とかの大手ハウスメーカーをはじめ他の建設業者も参加できれば最もフェアーであり、安心度も信頼度も高く、
永続性もあるわけです。

たぶん彼らは「設計事務所は設計料が高いですよ。」というでしょう。

でも、本来は「設計」があるから納得ができ、「監理」があるから健全な建物ができるのです。仕様書なしに工事はできません。

当然、設計図を基にした工事金額のダイエットは設計事務所が行います。

私のところの場合でも数社の業者の初期見積りは6000万円~8000万円ほどでも、
各業者の勘違いや数量の拾い間違えをはじめ過剰なリスク費用の計上や数量的に多めに見積もってあるところや
本社経費・営業経費を指摘することで、契約の時点までには5000万円ほどになるのです。

彼らとて、システム化・量産体制をとりながら、本来的には安くなるはずの
工事費が高いのはなぜでしょうか。

いろいろと余分な項目・名目で工事費を積み上げているのは見えにくい。

なぜ、営業広報や宣伝費、ましてや(管理費100万円/月・一棟
といわれる)モデルハウスの経費はどなたの負担で賄っているのでしょうか。

だから、最近はモデルハウスを建てないケースが増えてきましたね。

それでも価格が下がらないのは
会社自体が大きくなりすぎてしまったからなのです。

いろいろと営業マンから説明を受ければ受けるほど、反論できないのが
一般の建て主なのです。彼らは説明をすることが職能ですから・・・。

たいへん長くなりました。すみません。

KIさんにはいろいろとご事情もあってそうされていることと思います。

でも・・・、けれども・・・、ベンツが5~10台買える金額です。
もう少し冷静に、的確に判断された方が良いのでは・・・・と思います。

いろいろな解決策はあると思います。
一度実際に上記の現場をご覧戴くことも可能です。

いろいろな角度からご自身のお住まいをご検討されることをお勧めいたします。

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