詳細不明な古い大谷石の擁壁を擁壁玄関+擁壁地下車庫に変えた単世帯住宅
【神奈川県横浜市】
既存大谷石擁壁(2.5m~3m超)は築造当時から職人さんの経験則に基づいて作られていることが多く、構造的根拠(構造検討・構造計算)によって作られていることが少ないため構造耐力が不明とされている。
一般的に「構造的な安全性が確認できない擁壁」がある擁壁の上の土地に建物を新築する場合または増築する場合は建築確認申請において建物とは別にその擁壁の安全性を確認しなければならなりません。
しかしながら、大谷石積み擁壁は構造的な解析が難しいので、「擁壁を新しく築造することが望ましい」と管轄の行政部署は推奨することが多い。
なので、その擁壁の築造費用を考えると新築住宅建築費のほかに必要となることからその敷地自体を購入の選択肢から外すことは多い。
つまり、「段差のある擁壁付きの土地は莫大な工事費が嵩むので購入が難しい!」と敬遠されるのだ。
しかしながら、擁壁を再建せずともその土地を活かす考え方はある!
それは、擁壁を建物化(地下室化)してその上に建物を載せることは十分可能なのである。
また、擁壁の築造費用を地下室などの建築費用に置き換えられるので工事費も軽減できることとなり、かつ構造的にも安定した建物になるので地震や水災害などにも強く安心感も増す住宅にすることができる。
今回は道路と敷地の段差(3m)をフルに利用し、接道長さ17mの内、その擁壁部全長のほとんどをRC造地下室+玄関+大型ガレージ(2台分)+新規RC擁壁にて一体設計し、構造的にも頑強でかつ美しいRC造打ち放しの地下室の箱を地中に作り、その上に地下室群より大きな平屋建ての在来軸組み木造住宅を載せた住宅として設計している。