2階部分の増改築で3社相見積りの額に開きがある。アドバイスが欲しい

住まい&建物相談

弊社でも目下リフォームをいくつも手がけておりますが、そのほとんどは職人さんたち各々に直接弊社からお願いする分離発注形式にして工事を進めています。
これを弊社(設計事務所)主導の増改築リフォームといいます。
まず、お客様と弊社(設計事務所)が設計監理契約の上、構造的なことや設備的なことや機能的なことやデザインや工事予算など細かなところまで建築などの法律面も含めて検討して図面化します。
次に、その図面をもとに職人さんが見積りを出して、額的に問題なしとなればお客様と職人さんとが直接契約して工事に入ります。
職人さんは直接お客様からお金を頂戴するわけですからお客様のために建物を作ってくださいますので手抜きはありません。
また、弊社(設計事務所)が工事を監理していますので職人さんも工事の間違いがなく品質も高く確実性は倍加します。
が、一方では一般の工務店さんや建設会社さんや大手リフォーム会社さんと比べて経費は少ないので工事費は断然安いです。
したがって、品質が高く工事費も安いという安心が得られる工事手法です。
ちょっと珍しい工事手法を行っています。

さて、上述のごとくリフォーム工事は工務店さんや建設会社さんや大手リフォーム会社さんなどいろいろな工事会社が主導されて工事をしているのですが
大手リフォーム会社さんの場合を例に挙げて「作り手」についてご説明しますと
大手さんの場合はほとんどが自社施工はしないというのが現状でして、多くは現場監督を自社社員さんに任せるか、さもなくば現場監督さんすら下請けの工務店さんなどに出して、看板となる大手リフォーム会社さんの名前だけを表記している状態ではないかと思います。
これまでの日本の建築・建設業界はそのような多重下請構造で成り立って来ましたから、元請けさんが受注して、その受注の利益(約25~35%というとこともあります)を抜いた残りの分で下請けさん、孫請けさん、曾孫請けさんが工事をするシステムになっています。
が、そうした状況をご相談者さんも含めた発注者さんはわかっていまして「大手さんだから安心」というラベルを冠しているところは事実と思います。
ですので、このシステムでは改革できませんし、工事費も自ずと元請さんの利益温存で推移していくこととなっています。

つまり、大手リフォーム会社さんは、いわばリフォーム営業(チラシや新聞広告)によるお客様の獲得が中心的な仕事です(広告を打てるだけの費用を稼いでいる)ので仕事はたくさんあるわけです。
が、仕事は「リフォームしてなんぼ」ですのでその営業広告で獲得した仕事は下請けの工事会社さんに丸投げしても工事は最終的(業績として)に完了できるわけです。
つまり、実際のリフォーム工事は丸投げされた下請(工事会社)さんが責任を持たされるので初めから終わりまで、さらにはクレームやメンテナンスまで面倒をみることになるわけです。(下請工事会社さんも業績としています。)

ただ、その下請け会社さんがしっかりしていれば良いようですが、一般的にはその下請け会社さんもまたさらに下請け会社(孫請け)さんに仕事として出すのが通例なわけでして、さらにはその孫請け会社さんもさらにその下の下請け会社(曾孫請け)さんにその仕事を頼むわけで、結果的には曾孫請け会社さんのさらにその下の専門的な職人さんが仕事を請けることになっています。

責任問題としては元請けさんが負うようなイメージはよくありますが、それは営業的な側面で実は下請けさんが元請けさんの名前で責任を取っているケースがほとんどなのです。
つまり、ほとんどが下請けさんもしくは職人さんが最後まで責任を持って元請けさんには迷惑を掛けない図式があります。
なぜなら、それをしないと下請けさんは大手さんから仕事をいただけなくなるからなのですね。

これらのことを念頭にもう少し具体的に工事費の内訳を見ますと、仮にお客様の発注額を1500万円とした場合、元請けさんが400万円を営業経費として先取りしてしまいますから下請けさんは残りの1100万円で請けます。
次の孫請けさんは900万円で請けます。次の曾孫請けさんは800万円で請けます。そして最終的に職人さんは残りのが750万円で仕事をすることになるというのが実態なのです。
つまり、曾孫請けの職人さんなら750万円で完成できるものが1500万円で完成させるのが大手リフォーム会社さんの力なのです。
それだけ営業力が強いので宣伝効果も大きく知名度もあって評価も高いのです。
だから、工事費が高くても「大手さんだから」当たり前なのですね。

あれ!
そうなると末端価格とはどういうものになるのでしょうか。

これらについて弊社の専門の職人さんたちに直接お願いした場合の弊社が算出した場合の概算工事費は、
(かなりザックリした金額ですが)

足場仮設工事:30万円
木工事:350万円
無垢フローリング材:45万円
屋根工事:25万円
板金工事:10万円
サッシ(ガラス込)工事:90万円
木製建具工事:10万円
内装クロス工事:50万円
内外部塗装:60万円
左官工事:50万円
タイル工事:20万円
システムキッチン:50万円
設備工事(衛生機器・湯沸器・配管とも):150万円
電気工事(電灯コンセント・電話・TV・換気扇):40万円
ガス工事:10万円
解体:50万円
雑工事:30万円

以上合計1,070万円
というところです。

今までの1500万円規模の弊社実績からしますとこのくらいになると予想します。
ただし、弊社が関与した場合はこれらの額に設計監理業務費用214万円(増改築リフォームの場合:工事費の約20%)がプラスとなりますので総額では1,284万円ほどになります。

これらはあくまでも概算なのですが、本来的にはもう少しきちんと各部の仕様や機器類の品番や色や柄なども確認して金額が決まりお客様と各職人さんとの工事契約になるわけです。

さて、リフォーム工事の場合にとても大事なことを申し上げれば
既存建物の仕上げ面(表面)は誰が見てもわかることですが、その下地(中身・骨組み)の床下や天井裏や屋根裏などはほとんど床下や天井裏や屋根裏に入らない限り見えません。

こうした「開いて(中をのぞいて診ないと)見ないとわからない」カ所はある程度の想定を含めて見積りに入れるのは必然ですが、「わからないことは不明として『別途』」と見積り計上してあることが多いのは仕方がないことです。

できるだけ詳しく事前調査することは本来必須なのですが調査費用も掛かるので「見積り額を見て決める」というお客様は多いです。

ですので、間取りによっては梁や柱のある程度の移動や組み換えなどを伴うことになれば「わからないことは不明として『別途』」となっていた金額がプラスとなって工事費は初回の額から少しづつ加算されることとなります。

つまり、初回の工事見積額がいくら安くても、「それはあくまでも初回なわけです」ので、工事完了間際や完了後に積もり積もった追加工事内容の費用の請求が堰を切ったように300万円なんてことはがよくある話ですので絶対的な注意が肝心です。

そうした点で設計者の介入は大事なことで、
・事前にどれだけのことが予測できるのか?
・何にどのくらいお金がかかるのか?
・どこまで将来的な内容まで見込むか?
・耐震的など構造的な安心感は得られるか?
・利便性の追及はできているか?
・きちんと記録に残したか
など
これらの記録にしたがって工事契約を交わし、契約の通りに実行することで追加工事費は工事が終わってから300万円などということはなく、少額に軽減されることとなります。

ということで結論としましては、
ご提案の通り1番安い会社にお願いすることで良いのですが、できましたら多少の費用は掛りますが身近な設計事務所さんに設計と監理をお願いをして、ご希望をすべてお伝えしたうえで、各所について慎重にかつ客観的な意見も入れながら、さらに善し悪しのジャッジもしてもらいながら工事完了させることが最も賢明です。

ですので、追加工事費が出ることを考えれば、はじめから設計事務所さんの費用も含めて検討をすることで、もっとも費用対効果が高い、コストパフォーマンスが高い快適なリフォーム工事になれるのではないかと思います。

特に、昨今は劇的にデザインや能力が日進月歩で進化していますので、システムキッチンやバス、トイレ、洗面などの住設機器のみならず家電品やIT関連機器やセキュリティー機器までもがAI化していますので高額化しております。

そうした機器類はそれこそネット通販で購入できるシステムにもなっておりますので工事会社の手法や発言に惑わされることなく、ご自身たちの目や身体で触れてみて決定し、それらを上手く新居で使いこなすことができればより快適な住まいになれますので時間をかけてゆっくりを計画されることがもっとも大切なことと思います。

以上となりますが、ご不明点や解決がみられないなど何かお困りごとがございましたら引き続きご相談ください。

「住まいの無料相談室」
アドバイザー:小杉卓(一級建築士)

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