ハウスメーカーか建設会社かの選択は?

<はじめに: この回答はご相談のあった1998年8月に
       すでにご相談者あて回答したものですが、
       当相談コーナーのシステム改善の都合上、
       再度編集して掲示しております。ご了承ください。>

こんにちは KI さん メールありがとうございます。

防火地域内の建築は容積率や建ぺい率が他の地域に比べて緩い代わりに、何かと制限があります。

地上2階建以下、床面積が100平米を超えなくても準耐火建築物か耐火建築物ですから建築主にとっては工事費や工期的なリスクが多くなります。反面、耐久性や構造安定性は倍加するので、なるべく長持ちする建物にするのが賢明です。できれば60年以上のライフスタイルに対応する建物(最近では木造の場合でも40年以上には耐用するになってきましたので)することが望ましいと思います。

つまり、次に新築する時は西暦2060年以降とお考え頂いた上できちんと設計することが必要です。

ご質問の内容からすれば二世帯の住宅ということなので必然的に「鉄筋コンクリート造」か「重量鉄骨造」での耐火建築物にならざるを得ません。
「鉄筋コンクリート造」と「重量鉄骨造」の比較では全体的には「鉄筋コンクリート造」>「重量鉄骨造」で、「鉄筋コンクリート造」の方が優ります。資産の償却耐用年数でもこのとおりです。

お尋ねの発注先ですが、できればもう少し経験が豊富な建設会社を選定されることをお勧めします。

当然のことながら、「鉄筋コンクリート造」と「重量鉄骨造」の考え方は根本的に違います。また、同じ「鉄骨造」の中でも前述の「重量鉄骨造」と「軽量鉄骨造」でもその考え方は異なります。木造に関しての施工技術や周囲の評判が十分でも、これだけでは信頼にはつながりません。今の時代は「営業のしかた」もより高度になりましたので、「評判などは良くて当たり前」とお考えください。

それよりも、実際に専門家やご自身で確認して、「施工の技術や精度が高いのか」「アフターメンテナンスもスピーディーに対応しているのか」などのポイントチェックが重要です。

「軽量鉄骨造」は木造の(昔から大工さんが建てているような)在来工法に似ているので、町中の鉄骨屋さんに下請けで出したりして、それほどの施工技術がない建設会社でも何とかやりくりして建ててしまいます。小さな規模であればこれでも問題はないのですが、その内容を超える今回のようなケースでは簡単には行かないでしょう。

「鉄骨造」は「重量鉄骨造」も「軽量鉄骨造」もいずれも「鉄骨工事」に関しては必然的に専門の鉄骨屋さんに外注下請けとして出さなければなりません。そこにしか専門の施工技術がないものですから・・・。そうなると、建設会社の選択も含めてこの「専門の鉄骨屋さん」の選定がかなり重要になってきます。「重量鉄骨造」であればその選択範囲はもっと狭まります。また、この業者選定より以上に工事上で見えない部分(基礎の中身や鉄骨の溶接精度やボルトの締め付け精度・・・などなど)を厳密に検査することは最低限必要です。(もう少し突っ込んだお話しはご希望があればいたします)

といって、鉄筋コンクリートが良いかといえば「重い。工期が長い」などの欠点はあります。(最も「鉄骨造」は「乾式工法」といって水を使う工事が少ないので「乾燥」に要する時間を短縮できるのが特徴です。)しかしながら、遮音性、防音性や防火性、耐震性では「重量鉄骨造」より優位です。鉄筋コンクリートの専門的下請け業者は比較的見つけやすいので選択肢は鉄骨造に比べて多くなります。それだけ安心度があるということでしょうか。それでも「施工精度の見極め」は重要です。

さてここで問題です。こうした「鉄筋コンクリート造」や「重量鉄骨造」の検査機関はどこでしょう?また、検査を確認し判定するのはどこの誰でしょうか?・・・答えは以下にあります。

設計者は建設会社の設計士または建設会社専属の設計士が「設計」にあたる場合もありますが、最近では施工会社等の下請けではなく、純粋に設計監理を行っている「建築設計事務所」に依頼する方が増えてきました。これは、建築主の立場に立てずに施工者の都合(工事費から設計内容を規定してしまう)に合わせて設計を進められてしまうケースに建築主側に不満が溜まってしまい、最終的にはいろいろな面で建築主側にリスクが生じてその負担が多いことに気付き出したことによるようです。一般的にはハウスメーカーや建設会社に雇われている立場の設計士は雇われている側の判断を重視するのがルール(請け負い契約)です。これでは設計も最低限のことしか実行されません。これが「必要」最低限であれば許されるのですがそうではないのが現実です。(実態についてもう少し突っ込んだお話しはご希望があればいたします)

すでにお気付きのこととは思いますが、客観的にかつ建築主側の立場で、各種施工内容を専門的に判定評価する存在が必要なのです。これを「監理者」といいます。「管理者」ではありません。間違えやすいのでご留意ください。工事見積りや追加工事に至るまで工事金額を判定評価したりもするのが一般的です。(もう少し突っ込んだお話しはご希望があればいたします)

今までにもこうしたご相談は多く、契約後や着工後に気付いた時点でご相談を頂くケースがほとんどですが、大半は手遅れで、どうすることもできずに建築主が泣き寝入りしてしまいます。これから50年以上もその空間の中で住み続けていくにもかかわらず、また数千万円という高額な買い物をプロのアドバイスなしに建築(購入)する割には結構安易な選択をしてしまうのです。

最近での工事金額(坪単価)の一応の目安は、規模にもよりますが、標準の耐震防火性能を必要とした場合で仕上げが一般の場合でも、「鉄筋コンクリート造」も「重量鉄骨造」も同様に70万円程度です。80万円あればそこそこ良いものができます。

結果、どれをとってもすべては建築主の選択なのですが、情報がない中での選択ほど間違えを起こしやすいのです。こうしてご相談を頂くことでもっとお客様に正確な情報が伝わって「満足度」がより充足できればと願っております。

蛇足ながら、二世帯住宅等での建物の所有区分なども十分検討しておきましょう。この区分面積によっては資産税負担が多くなる場合があります。竣工後の税金は馬鹿にできません。間取り等の参考例は http://www.mmjp.or.jp/vankraft/mkd_pl0.html または http://www.mmjp.or.jp/vankraft/bok_hz9101e.html をご覧ください。こんな区分方法もあります。

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