駐車場の下に地下ドラム練習スタジオ(兼地下シェルター&楽器庫)を増築
建物概要
「検査済証のない建築物に係る指定確認検査機関等を活用した建築基準法適合状況調査のためのガイドライン」による手続きを実施しました。
簡単に言えば「法不適合建築物である建物(学習塾)を地下付建物(補正遵法化)に変更」した実例です。
この駐車場の下に約20畳の地下シェルター&楽器庫(兼ドラム練習スタジオ)=埼玉県さいたま市緑区
今回の地下室は単独地下室で、現在音楽教室を営んでいる建物の裏側の空地に新たに地下音楽スタジオを作りたいとのご要望を実現したものです。
音楽教室の既存建物は過去の所有者から15年ほど前に建物を購入していて建築の法的な許諾書類の建築確認申請書や検査済証などの引継ぎがなく、図面もなかったため、当時に遡ってその所有者や建物を建てた工事会社に資料を求めるところから始まりました。
建築法的に増築となる今回の地下室の建築確認申請はおおむね3週間で許可が下りたのですが、それ以前に難しかったのは現況の音楽教室の建物が当時の法律に合致していることを証明するための書類を整えることに時間を奪われました。
事実、今年の1月末に初回面談をしてから確認申請まで約6ヵ月を要したのは従前の書類不足によるところが大きかったのです。
それくらい法的な許諾に係る書類は重要書類であり、その欠落によるフォローは手間と時間がかかることになります。
ですので、皆さまも現在お住まいの建物の図面や申請許可関連の書類はぜひ紛失しないように大事に保管しておいてください。
今回の地下室音楽スタジオは実質的にドラム練習スタジオとしてドラムセットを向かい合う形で2セット置いて、かつアップライトピアノや他の楽器などとのセッションも可能なように設計しています。
スタジオは約15畳ほどで、スタジオ前には小さな待合のためのホールを用意しています。
地上は3畳ほどで玄関のほかにトイレと階段のみという構成にして建ぺい率に抵触しないようにして、他の地上部分はランドクルーザーの駐車場としました。
構造は鉄筋コンクリート造の壁式構法を採用して、永年的メンテナンス(保守点検やリフォーム)を軽減するためにコンクリート打ち放し仕上げとしています。
完成した約20畳の地下ドラム練習スタジオの全景
この約20畳の地下ドラム練習スタジオ(兼シェルター&楽器庫)の上が駐車場となっています
鉄筋コンクリートの打ち放しで壁・天井の5面をすべて囲まれたドラム練習スタジオはさすがに地上への音漏れは気にならないほどの音圧です。
お客様はこの音圧の件は依頼当初からご心配されておりましたが完成して後、ご友人のドラム講師の方にドラムを実際に叩いていただき、深夜に地上で音圧を確認されたところ、「まったく問題ない大きさだった!これなら深夜でも叩いて練習できる!」と嬉しそうにお話しくださいました。
これまでも何度となく地下でドラム練習室や爆音で聞く音教室をつくってきておりますが、こうしたお声はとてもありがたく、また他のお客様に参考になります。
ありがとうございます。
お客様はプロのミュージシャン(ドラム)もされている方ですので、とても心強い確認をしていただきました。
特に、空調換気関連で特殊な消音チャンバーやサイレンサーのような設備はしておりませんので工事費も専門的な費用は計上しておりません。
ともすると、「地下は絶対に漏水する!」という昔からの都市伝説と同じく、「絶対に音漏れする!」という考えも疑ってみる必要はあるのではないかと思います。
地下ドラム練習スタジオの全景
この約20畳の地下ドラム練習スタジオ(兼シェルター&楽器庫)の上が駐車場となっています
スタジオはやや台形の平面形状で奥の狭まった空間のドア外が待合スペースになります。
左の掘り込んだ部分は階段下で楽器庫でアップライトピアノが置かれます。
壁と天井は鉄筋コンクリートなので反響で残響が長いのでお客様が吸音材を部分的にセルフビルドで処置されています。
床も同様でお客様が自らホームセンターでクッション材を購入されてセルフビルドされています。
ご自身たちは音のプロですから外部(地上部)に音が漏れなければ吸音などの処置は音響の専門家に工事を任せなくても処置できました。さすがです!
スタジオ入口と待合スペースと階段室
1階の玄関ならびにトイレ前のホールから階段を下りてきて待合スペースとスタジオの入口
内装はすべて鉄筋コンクリート打ち放し仕上げとして玄関からスタジオまでつながっている。
待合いスペースは生徒さんが4~5人ほど待機できるようになっている。
1階トイレは玄関とホールの横にレイアウトして既存排水管に接続
1階玄関ホール横のトイレも鉄筋コンクリート打ち放し仕上げ
床は掃除がしやすいように樹脂床を採用しました。
お客様の声
◆2018年5月13日
お疲れ様です!
話は変わりますが、最近はスタジオでリハーサルやったりもします!
中々良い音なのです!^_^
それぞれの音がちゃんと聴こえやすい!
先日、日本を代表するバイオリニストの中西俊博さんが、長時間大きな音出してても耳が疲れないね!
って言ってくれました!
その時のリーダーでキーボードの奥本亮さんはナタリーコールのピアノなど、長年ロスで活躍する人!
奥本さんにもやりやすくて最高!って言ってもらいました!
形状や吸音も関係しているとおもいますが、今後小杉さんがオファーを受けた時のポイントになると思います!
あっと言う間に半年経ってしまいました!(^_^;)
また連絡致します!
◆2018年7月21日
こんにちは!
先週、レコーディングエンジニアをやっている友達がスタジオに遊びに来て、絶賛していただきました!
やはり1番奥の(記念写真撮った場所)響きが良いとのことでした!(^_^)
早いもので、あっという間にに半年、着工からはそろそろ一年経ちます!
知り合いから絶賛されても、謙遜も出来ず、最高なんだよーとしか答えられません!笑
自分も小杉さんのような素晴らしい仕事ができるように頑張りたいと思うばかりです!(^_^;)
酷暑で大変かと思いますが、みなさんお元気でお過ごしください!
今後ともよろしくお願いします!
ラインでの挨拶となってしまい、すみません!
◆設計データ◆
工事名称:(仮称)某音楽教室
工事種別:増築工事
所在地:埼玉県さいたま市緑区
用途地域:第一種中高層住宅専用地域
その他地区地域:某土地区画整理事業地区
高度斜線制限:なし・高度地区(15m地区)
前面道路:5.0m
敷地と道路との段差:0.0m(平坦地)
容積率:102.66%<200%
建ぺい率:40.45%<60%(角地緩和:なし)
敷地面積:100.53㎡(セットバック不要)
地盤状況:安定地盤=改良(杭等)不要、液状化なし
基礎・地業:直接基礎
主要構造:鉄筋コンクリート造(既存建物は木造軸組在来工法)
階数:地下1階/地上1階/塔屋なし
建築面積:5.89㎡
延床面積:38.07㎡(地階+1階、既存建物64.59㎡は含まず)
1階床面積:5.89㎡
地階床面積:32.18㎡(ドライエリアなし)
工事期間:2017年8月初旬~2017年11月中旬