026-09-05【東京都調布市】驚異の地下室付狭小8.53坪住宅

RC構造フレームの地下付屋上付オール電化スキップフロア住宅

この敷地は約70㎡で、幅員4.0mの南面道路に間口約4.54mで接道し奥行約15.5mとやや小さくて「うなぎの寝床状」の超長方形敷地です。また、第一種低層住居専用地域で建蔽率40%・容積率80%、北側第1種高度斜線などの法的制限が厳しい地域内にある敷地です。
建物は建替えながら左右の隣家と接続した長屋形式の建物を切断分離して建築しました。
昔から両隣りと一体の建物でしたので建物の分割ラインと敷地境界線が不明確でした。
難儀だったのは、左右の土地建物所有者のそれぞれと協議を重ね境界ラインを決めねばならなかったことで、法的にかつ正式に分離する業務からスタートし、約1年の分割作業を経て建物計画に入りました。

やや狭小地なので寸法は1㎝、2㎝を無駄にできませんし、法的制限、特に第1種高度斜線制限が屋根の高さを決めます。
ゆえに床面積をより有利に確保するために地下室付住宅の提案をさせていただき、狭小建物ならではの解決法として地下部のRC造をそのまま地上部分にも伸ばす構法(RC壁式ラーメン構造構法)を採用する提案で方針決定しました。
ただし、高度斜線制限で屋根形状が特殊となるため勾配屋根は木造として構造解決しています。費用面でもRC造で勾配屋根を造るよりは安くなりますから、適材適所の考え方になります。
また、①主要な構造部分がRC造(耐火性能を有する)となれば民法上の50㎝離隔が緩和されること、②隣地建物が敷地境界線上にあるため火災発生時など防災面での配慮のほか、③建物の床面積をできるだけ広げることが可能、④外壁や内壁を耐火・不燃化することで火災保険料(地震保険付き)の軽減などを意図しています。
建物本体はRC造壁式ラーメン構造構法ながら柱・梁・床・一部屋根以外の外壁や一部屋根は在来木軸構法として以下を削減しています。
・力学的負担の軽減
・メンテナンスの容易性
・断熱性能の向上
・工事費の軽減などを意図しました。
同時に2階空間は高度斜線によって抑えられる中、斜線制限ギリギリでの屋根形状を作るためRC造と木造でのメリット・デメリットを比較検討した結果、木造で屋根を構成することが最も合理的かつ経済的であると判断し、制限一杯まで内部空間を広げて伸びやかなゆとりある空間としています。
また、この建物では北側高度斜線制限を克服すべくスキップフロア形式を採用しました。
このスキップフロア形式は木造では構造力学上地震と風圧の計算解決が難しく高度となるためラーメン形式のRC造としています。
内部プランの点では、ご家族の生活機能を単純明確化し、半階ごとに機能分化して階段面積の無駄を抑えつつ収納機能も建物の中心となる階段周辺に集約しました。
このことによりスキップフロア特有の空間の連続性が生まれ、それぞれのフロア空間に奥行感と解放感が出てきます。
特にスキップフロアの特徴として生じる地階部分での1.5倍天井高の部屋ではこの天井高さの中間に天井高さの低い収納フロアを設け家財道具の大半をここに収納しています。
RC造スキップフロア形式により、狭小住宅にもかかわらず広く収納面積も確保できて、半階ごとの機能分化で生活の切り替えも明確にでき、屋上ではBBQやプール遊びなど家族の遊び空間も確保され、年間を通じて室温が一定で省エネな静かな地下室では自分をエンジョイできます。
わずかワンフロア7坪であるにもかかわらず閉鎖性のない空間が3層出来上がりました。
小さいながら地下室付3層住宅+屋上はお客様のお気に入りになっています。
なお、このお住まいはオール電化を採用しました。

 

北側高度斜線で屋根をギリギリまで上げて空間利用を高める!

階段を駆使して各室をつなげていくスキップフロア構成!

地下室からのRC造フレームを地上階まで延ばして耐震・耐火!

◆設計データ◆

所在地:東京都調布市
用途地域:第一種低層住居専用専用地域
高度斜線制限:第1種高度地区
前面道路幅員:4.0m
容積率:39.96%<80%
建ぺい率:79.91%<40%
敷地面積:70.55㎡(セットバック含まず)
敷地と道路との段差:0.0m(平坦地)
地盤状況:安定地盤=改良(杭等)不要、液状化なし
基礎・地業:直接基礎
主要構造:鉄筋コンクリート造
階数:地下1階/地上2階/塔屋なし
建築面積:28.19㎡
延床面積:84.57㎡(地下室とドライエリア含む)
2階床面積:28.19㎡
1階床面積:28.19㎡
地階床面積:28.19㎡(ドライエリア面積:4.14㎡)