#025-02 都市計画道路内に建てた3階建2世帯住宅 東京都立川市
玄関のみを共有した独立二世帯3階建6人家族の家【地下室なし】
外観
|
2階リビングルーム
|
2階バーカウンターとキッチン(本格的なビールサーバーもセット)
|
1階茶室兼客間 |
建物断面
|
プロジェクト解説:
敷地は繁華街から一歩入った住宅地ながら都市計画道路の中にある。また、準防火地域内でもあり簡易耐火構造が要求されている。親子二世帯というご希望があり初期段階では地下室の検討を行ったが都市計画区域内では地下室付は不可のため木造3階建とした。そうした意味では多面的に行政との調整を重視した。
また、道路斜線は「天空率」で克服することで道路面のファサード(道路側の容姿)をシャープな都市型スタイルにすることが可能で、かつ道路斜線制限による斜め天井を克服。同様に北側の高度斜線制限をもろに受けた斜め天井を克服するため、建物全体を南側に寄せて縦方向の居住空間の確保をすることで内外ともにプアーな空間を回避できた。平面プランは南側に建物を寄せながらも敷地奥に採光を植木用の小さな庭を用意し、採光のみならず通風や四季を感じるゆとり空間とした。
狭小地で建蔽率60%という地域特性での都市型二世帯住宅は上下階で世帯を分離することが一般的で、この世帯も1階部分に親世帯、2階3階部分に子世帯を配置することとした。しかしながら、各世帯では生活スタイルや食の嗜好が異なるためそれぞれが独立したリビングダイニングおよびキッチン、独立した浴室、独立したトイレとした。
1階には親子二世帯の交流の場としての裏千家茶道教室用の茶室を用意した。2階には若夫婦共通の大型書斎。3階には若夫婦の主寝室とクローゼット。また、将来の子供室スペース(2人を想定)を確保した充実したプランに仕上げた。
工事規模は木造3階建・延床面積約50坪で、工事費は約3850万円(税込・設計料別)。地盤改良工事ならびに二世帯分の設備コストがアップする中、二世帯独立型フルセットをこの金額で収めるのはなかなか大変だった。
(写真撮影:小杉卓)