「府中の森・縦空間の家(父親と上下階で住む1.5世帯住宅)」【地下室付】
敷地は府中の森公園に近く表通りからの抜け道沿いにある。袋小路との2面道路の角地で建蔽率40%(角地緩和で50%)、容積率80%の第一種低層住居専用地域。
親子二世帯というご希望のほかにご友人やお仲間が多いので皆でワイワイできる来客用空間を地下に用意し、その地下室へは地上住居内部からも地上外部からもご友人やお仲間が出入りができる専用の外階段と玄関と来客用のトイレが欲しいとのご希望があり、かつ地下にはご主人のオーディオリスニング兼ホームシアターを設けて欲しいという面積的にも予算的にもかなり厳しいご希望があった。
幸いなことに2面道路に面するので、建築基準法の角地緩和という利点である建蔽率50%を設計に活かし、敷地面積35坪に対して地下部分に約14坪、1階を10.5坪、2階部分を17.5坪、小屋裏収納部分を4.5坪とするプランとした。
また、道路斜線は「天空率」で克服し道路面のファサード(道路側の容姿)をシャープな都市型スタイルにすることができ、かつ道路斜線制限による斜め天井を克服できた。同様に北側の高度斜線制限をもろに受けた斜め天井を克服するため、建物全体を南側に寄せて小屋裏収納も含めた縦方向の居住空間の確保をすることで内外ともにプアーな空間を回避した。
平面プランは南側に建物を寄せた関係で北側に2000ccクラスが入る駐車場を設定でき、かつ南側には来客用の駐車場兼自転車置場を設定した。敷地奥には物置程度を置くスペースあるが庭は南側にほんの少しだけとなった。2面道路に面する欠点は防犯でそうした点ではセキュリティーは必須となるが、外部からのご友人やお仲間にはバリアは少ない家となっている。
狭小地で建蔽率40%という地域特性での都市型二世帯住宅は上下階で世帯を分離しても部屋数を取ろうとすると1室のひと部屋の面積は6畳を切ってしまう。が、1階部分に父室と娘室、2階に大型のリビングダイニングキチンと夫婦寝室を配置するで少しでも広げる努力をした。
地階には親子二世帯の交流と友人やお仲間との交流の場としての地下18畳ファミリールーム。8畳のオーディオリスニング兼ホームシアターのほか、2畳の書庫もセットされた。
工事規模は地下1階+木造2階建・延床面積約46坪で、工事費は約3650万円(税込・設計料別)。
府中というだけあって遺跡がこの敷地から縄文時代の石器が出土するところとなり、その石器などを記録するため工事が約2ヶ月程度中断したのは想定外だったが、太古の事実が眠る土地にさらに200年建物を記録したことはとても意味深い。
(小杉 卓)
建物断面建物断面 (地下室をクリックすると地下室ページがご覧いただけます)
外観
2階リビングルーム・吹き抜け
2階ダイニングとキッチン(キッチン右手通路を挟んでに食品庫がある)
1階父室
外からもアクセスできる地下ファミリールーム・右手ワインカラーのドアはホームシアター・さらに右手は書庫